このページは、息子さんや娘さんから「家族信託を考えてほしい」と言われて、戸惑っている方のために書きました。
最初に、一番大事なことをお伝えします。
急いで決める必要はありません。 そして、最後に決めるのは、あなたです。
財産はあなたのものです。お子さんにも、専門家にも、あなたに何かを強制することはできません。
その上で、「家族信託とは何か」「何を確認すれば損をしないか」を、できるだけ正直に書きます。良いことばかりは書きません。気をつけたほうがいいことも、全部書きます。10分ほど、お付き合いください。
なぜ、お子さんはこの話をしてきたのか
突然お金の話をされて、こう感じたかもしれません。
「自分の財産を狙っているのか」 「もう、自分がぼけると思っているのか」
そう感じるのは、自然なことです。ただ、お子さんが心配しているのは、多くの場合、別のことです。
今の日本の仕組みでは、銀行が「ご本人の意思確認が難しい」と判断すると、ご家族であっても預金を動かせなくなります。これは、あなたの財産を詐欺や悪い人から守るための仕組みです。
ところが、この仕組みには困った面もあります。
たとえば、あなたが将来、入院や施設への入居でまとまったお金が必要になったとき。
あなたの口座にお金が十分あっても、引き出せなければ、お子さんが自分の家計から立て替えることになります。施設の費用は、月に15万円から30万円ほどかかることもあります。
もし賃貸アパートやマンションをお持ちなら、もう一つ心配があります。
ご本人の意思確認ができなくなると、建物の修繕も、新しい入居者との契約も、売却も、できなくなります。家賃収入で暮らしている方にとっては、生活の柱が止まってしまうことになりかねません。
お子さんが恐れているのは、あなたの財産を「もらえない」ことではありません。あなたのお金が「使えない」せいで、あなたのために、あなたのお金を使えなくなることです。
家族信託とは、ひとことで言うと
家族信託とは、お元気なうちに、財産の「管理のお手伝い」を、ご家族に頼んでおく契約です。
ここで、誤解されやすい点を2つ、正直に書きます。
1つ目。財産をあげる契約ではありません。
お金の持ち主は、あなたのままです。財産から生まれる利益(預金、家賃など)を受け取るのも、その使い道を決めるのも、あなたです。これは契約書にはっきり書かれます。
2つ目。ただし、不動産の「名義」は変わります。
ここを隠して説明する人がいたら、信用しないでください。信託したアパートや自宅の登記の名義は、管理を引き受けるご家族(たとえば息子さん)に変わります。
「やはり取られるのでは」と思われたかもしれません。でも、違いがあります。
名義は変わっても、登記簿には「信託」と記録され、息子さんが自分のためにそれを勝手に売ってお金を懐に入れることは、法律上できません。利益はすべて、あなたのものとして守られます。
それでも「名義が変わる」のは事実です。ですから、この点に納得できるまで質問してから、決めてください。後ほど、確認すべきことの一覧をお見せします。
「何もしない」を選んだ場合のことも、知っておいてください
家族信託を断るのも、立派な選択です。ただ、その場合に何が起こるかは、知っておいて損はありません。
将来、もしご自身で銀行の手続きが難しくなった場合、ご家族がお金を動かすには「成年後見」という制度を使うことになります。この制度には、こういう特徴があります。
- 財産を管理する人(後見人)は、家庭裁判所が選びます。ご家族ではなく、面識のない弁護士や司法書士が選ばれることも、よくあります。
- その方への報酬として、あなたの財産から毎月2万円から6万円ほどが、ずっと支払われます。10年なら、240万円から720万円ほどになります。
- 一度始まると、途中でやめることは、原則できません。
- もしアパートをお持ちでも、その後見人は財産を「守る」のが役目なので、空室を埋めるための工事や、思い切った修繕、売却といった「経営の判断」は、基本的にしてくれません。
つまり「何もしない」というのは、「ご家族に任せないで済む」という話ではなく、将来、知らない方に財産の管理を任せ、報酬を払い続ける可能性を選ぶ、ということでもあります。
これを聞いて、「それでも、家族より公的な仕組みのほうが安心だ」と思う方もいます。それも一つの見識です。どちらが正しい、ということはありません。
契約する前に、必ず確認してほしいこと
もし話を進める場合は、次のことを、お子さんと専門家に確認してください。全部に、はっきりした答えが返ってくるまで、署名しないでください。
お子さんに聞くこと
- 管理を引き受けるのは誰か。その子に、時間と、やりきる力はあるか
- 他のごきょうだいは、この話を知っているか。賛成しているか (お一人だけで進めている場合は、ごきょうだい全員で話す場を持つことを、おすすめします)
専門家に聞くこと
- 費用は全部でいくらか。内訳を、書面でもらえるか
- どの財産を信託に入れて、どれを入れないのか。すべてを入れる必要はないはずですが、その理由
- 私(本人)の生活費やお小遣いは、今までどおり自由に使えるか
- アパートがある場合、これまでどおり家賃は私が受け取れるのか。修繕や入居者の管理は、誰がどう進めるのか
- 管理の報告は、誰が、どのくらいの頻度で受けられるか
- 途中で内容を変えたり、やめたりすることはできるか
ご自身の心に聞くこと
- 急かされていないか。「今日中に」「今だけ」という言葉が出てきたら、それは危険なサインです。きちんとした専門家は、決断を急かしません。
最後に
このページを、お子さんから送られて読んでいる方が、多いと思います。
お金の話を親にするのは、子にとっても、勇気のいることです。言い方がぎこちなかったり、急に聞こえたりしたかもしれません。それでも話を持ってきたのは、あなたともめたいからではなく、あなたともめたくないからだと思います。
結論を出す必要は、今日はありません。
ただ、一つだけ。この契約は、お元気なうちにしか結べません。体のお元気さではなく、契約の内容を理解して、ご自分で判断できる、ということが条件だからです。
ですから、もし少しでも「話だけは聞いてみてもいい」と思われたら、お子さんと一緒に、専門家の無料相談で、疑問をぶつけてみてください。聞いた上で断っても、費用は一円もかかりませんし、誰もあなたを責めません。
そして、何度でも申し上げます。決めるのは、最後まであなたです。 誰かに決められることでは、ありません。
【CTA設置位置(控えめに1つだけ)】 ボタン文言案:「親子で行ける無料相談について見てみる」 ※「申し込む」「今すぐ」等の圧のある文言は使わない
あなたの財産は、あなたが築いたものです。最後まで、あなたの意思で。
このページが、そのお手伝いになれば幸いです。
【参考リンク(本文末・小さく)】 銀行の手続きができなくなる仕組みについて、もう少し詳しく → C記事
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